葉挿しとは?(種子を使わないで植物を増やす方法)

高価で貴重な植物買ったんだけど、枯れそうで不安。そんなときに葉挿しをして植物を増やせば万が一買った植物が枯れたときも安心です。今回は貴重な植物を葉っぱから増やす、葉挿しについて説明していきたいと思います。

まず、植物を増やす方法について。種がなくても増やせるんです!

普通、植物を増やす方法として一般的な方法としては野菜や花の栽培でよく使われる種子をまいて増やす方法、種まきですよね。実はその方法以外にも植物には個体を増やす方法があります。それは葉挿しや挿し木、挿し根など体の一部から別の個体を増やす方法です。

植物の細胞には動物の細胞にはない「全能性」という性質があります。その性質によって植物は簡単に体の細胞(根や葉など)から自分のクローンを子供の状態から作ることができます。

(余談ですが、動物、例えば人間は通常髪の毛から自分のクローンを作成することはできませんが、実は動物細胞もうまく処理するとiPS細胞やES細胞のような全能性を持つ細胞をつくることができるようです。しかし、実用化はまだ時間がかかるようですね。しかし臓器が自分の細胞から作れるようになったら救われる人も増えてきそうですね。)

この植物の全能性をうまく使って個体数を増やす方法を専門的な言葉で無性生殖といいます。性別を基にしてない増殖方法ということですね。これに対し、種を使って増やす方法を有性生殖(雌しべと雄しべなど性別が関係する生殖)といいます。
無性生殖で増えた植物は基本的には親と同じゲノムを持つクローンとなります。

無性生殖(挿し木・葉挿し)ではどうやって新しい個体を作るの?

新しい個体ができるまでの流れとして、

  1. 傷がついた部分の細胞からのカルスの形成(細胞の脱分化)
  2. カルスからの新個体の形成

の2つのステップがあります。

1つ目のカルスの形成(細胞の脱分化)は、傷がついた植物の断面の形成層(分裂組織)で主に起こります(師部で起こることもあるようですね)。カルスには傷口をふさぎ、病原体に感染するリスクを減らすような機能もあるようです。カルスの形成はオーキシンという植物ホルモンによって誘導されます。ルートンという商品はこのオーキシンと同じ働きをする化学物質を成分として含んでおり、カルスの作成を促進します。次は是非このルートンの効果について検証していきたいです。


 

2つ目にカルスから新しい個体が形成されます。カルスはいわばまだ役割が決まっていない細胞の塊なのですが、そこから分化して新しい個体が形成されます。この過程を再分化といいます。

大きな流れとしては「脱分化からの再分化」と覚えるといいと思います。

葉挿しとは?葉っぱだけを使って植物を増やす方法!

葉挿しとは先に説明した無性生殖の1つの方法です。その名の通り、葉を土や水ごけに刺して増やす方法です。葉挿しには気をつけるべき点が数点あるためそちらをお伝えしたいと思います。

まず1つ目に元気のある葉っぱを選ぶことです。葉挿しをするときのエネルギー源は葉っぱに蓄えられた養分のみです。普通の植物ですと根から養分を吸収しその養分を自分の生長に使うことができますが、葉挿しした葉は根がありませんので、それまでに葉にためた養分を使って新しい個体を形成します。そのため、葉挿しには元気で養分をできるだけ蓄積した生きのいい葉を選ぶことが大事です。

2つ目は湿度です。葉挿しをする場合は空気湿度は多湿である必要があります。通常の環境では葉挿しをした場合、葉の水分だけでは次の個体を作るまでの間に乾燥してしまい失敗してしまいます。そのため多くの場合、密封容器の中で土や水ごけに刺して増やします。ただし、加湿環境は病原菌が繁殖しやすい環境なので、枯らしてしまうリスクは上がってしまいます。そのため、ある程度は失敗する前提で葉の数でカバーしましょう笑

3つ目はできるだけ無菌状態を保つことです。2でも説明しましたが、密封で多湿な環境は病原体にとっては絶好の増殖環境です。病原体を増やさないためにできることとして、まず培地をできるだけ無菌状態にすることです。葉挿しをする前の段階の対策としては水ゴケですと、通常乾燥した状態に常温の水を加えてもとに戻しますが、熱湯をかけて密閉することで殺菌をする方法があります。また、水ごけを使う以外にもできるだけ無菌状態にするために有機質の培地を避けてあげてできるだけ無菌の培地(鹿沼土やパーライトなど)のみを培地として使う方法もあります。葉挿しをしたあとの対策としては「できるだけ密閉容器を開けないこと」があります。空気中にはどうしても雑菌が舞ってしまってるため、その侵入を防ぐ意味でも可能な限り植えたあとは開けないことが大事です。芽が出てるか確認したい気持ちをぐっとこらえましょう(笑)。もしくは可視性が高めるため透明度が高いプラスチックやガラスの容器を使うといいかもしれません。

4つ目は暑さをできるだけ避けることです。上記で何度も説明していますが、病原体の増殖を防ぐためにも高温状態をさけできるだけ25℃程度を保ちましょう。

5つ目、日光は厳禁です。日光のエネルギーが強すぎて葉が一発でだめになってしまいます。直射日光の当たらないような日陰においておきましょう。

葉挿しと挿し木を比較してみた

無性生殖の方法として代表的な挿し木と比較してみました。

成功率

葉挿しは挿し木と比較すると茎を挿す方法と違い、水分や養分の蓄積をする部分が葉の部分しかありませんので、挿し木で増やすよりも成功率は下がってしまいます。

増殖を試せる本数

葉挿しは葉っぱの枚数、挿し木は茎の本数によって試せる本数が変わってきます。つまり、植物を見て分かる通り、葉挿しのほうが多く挿すことが可能です。成功率の高さはこの増殖を試せる本数でカバーしましょう

増殖したときの個体の数

通常挿し木だと根っこが生え、そのまま1つの茎から1つの個体になることが多いですが、葉挿しだと1つの葉から複数の個体が形成されることが多いです。葉っぱの根本からたくさんの茎が伸びているのを見るとあなたもきっと興奮してしまうでしょう(僕だけでしょうか?笑)

 

次の投稿では実際に水ゴケを使った葉挿しの方法について説明したいと思います!

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